Oct. 28, 2024
●日 時: 2024年10月27日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3F多目的モール
●テーマ: 『深海の世界〜未知なる資源と未知なる生態系について』
●講 師: 福島朋彦氏(国際海底機構法律技術委員、神戸大学海事科学研究所特命教授)
地球は水の惑星と呼ばれます。この惑星は表面積の71%は海で占められ、そのうちの75%が1,000mより深い、いわゆる深海です。このように地球の大部分を占める深海ですが、私たちにとっては「未知の世界」と言ってよいほど情報が限られています。たとえば、そこに生物が棲んでいることが知られたのはほんの1世紀前のことですし、有用な金属資源が眠っていることがわかったのも半世紀前のことです。
そこで本講演では、深海の資源と環境に焦点を当てて、今日の知見や取り組みを紹介したいと思います。具体的には、深海にはどんな資源がどんな場所にあって何が期待できるのか、それとともに、深海生態系にはどんな特徴があってどれほど繊細でどれほど大切であるかを解説します。その上で、国際社会は資源開発と環境保全について、どのように取り組んでいるのかを紹介したいと思います。
●日 時: 2024年 9月15日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3F多目的モール
●テーマ: 『藤原道長の生き方とその時代』
●講 師: 伊藤一美氏(鎌倉考古学研究所理事)
「藤原道長」。教科書風にいえば平安貴族のヒーローともいうべき人物だろう。紫式部との交流もまた、彼女をして『源氏物語』を書かせる契機となったことは周知のことだ。
道長が政治家として光り輝く時代は、寛弘年間(1004〜1011)であった。姉の詮子が産んだ一条天皇も既に25歳を迎えていた。左大臣道長にとって賢者の誉れある天皇政治をいかに支えていくか、その目標が見えてきた時期でもあったはずだ。
今回は、大河ドラマに描かれた道長と式部、さらに宮廷でのやりとりなど、ドラマ風ではないが、改めて当時の史料を読み直すことから、道長の日常的な、そして人間的な関わりを見いだすことができればと考えている。
具体的には第一に、政治世界への道長の登場のあらまし、第二に、道長の家族や人間関係、第三に、中宮彰子の世界と道長の動き、第四に、道長の学問と日記の家の成立などを語っていくこととする。
●日 時: 2024年 8月18日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3F多目的モール
●テーマ: 『人の目を目指した写真〜画像による時空を超えた感動の再現へ』
●講 師: 大塚秀一氏(技術士、元富士フィルム(株)画像技術センター長)
人の眼は、日向、日陰、夕焼け、人工光と変化する光環境下でも、わずかな色の違いを検知し、果物の熟れ具合や、人の顔色等を判断できるように進化し、高度な社会生活に貢献しています。
さらに眼から得た情報や感動を記録し他の人と共有するために、絵画をそして写真という技術を獲得しました。最近ではデジタル技術が写真に組み込まれ、スマホで瞬時に時間・空間を超えた画像共有が可能になりました。
眼は静止している外界を見るときも、常に眼球を微小に動かしながら外界全体を理解し続けます。カメラをシャッターを押したときのその瞬間を光学像として記録します。この違いが写真システムに大きな制約を与え、また写真ならではの特徴を与えています。
私は長い間、写真会社で画像に関わり、目の能力の奥深さを感じてきました。そして眼を含めたトータルシステムの向上を目指してきました。今回は眼の能力を含めた、写真システムについてお話しします。
●日 時: 2024年 7月21日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター) 3F多目的ホール
●テーマ: 『人生の想い出を綴る〜自分史の作り方』
●講 師: 高島慶次氏(王樹の森工房代表、善行雑学大学名誉会員)
家族も読みたくなる… あなたが歩んできた道を振り返ってみましょう。自分の人生を書き残すことは、あなたを支える方々に対しても、とても有意義です。作り方は2種類あります。時系列(誕生、小学校、中学校、高等学校、大学、社会人、退職後の人生)と項目別(ボランティア活動、ゴルフ等の趣味、旅行、読書、芸能鑑賞など)です。書き込む内容は、楽しかったこと、嬉しかったこと、感激したこと、成功したこと、失敗したこと、恥ずかしかったこと、悲しかったこと、頑張ったこと、家族や配偶者の支え、恩師や友人の忠告、座右の銘、信条、困難に直面した時の取組みと克服など、思いついたことから書き始めましょう。
人生の魅力が詰まった物語を描くことで、大切な思い出が深く刻まれます。過去の経験や挑戦、さらには未来への夢と希望を交えることによって、さらに心温まる物語となることでしょう。ここでは、私自身の事例をご紹介しながら、自分史のヒントとなるものをお話ししていきたいと思います。
●日 時: 2024年 6月16日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター) 3F多目的ホール
●テーマ: 『日韓文化交流の10年』
●講 師: 小川裕司氏(日本ペンクラブ会員、写真家)
私は2005年から2008年まで日本の船会社の駐在員として韓国のソウルに3年間住んでいました。日韓の文化の違いの大きさに驚きながらも、住んでみてはじめてわかる韓国の優しさに触れ大変貴重で楽しい駐在員生活をさせていただきました。その時に日々感じたことを地元の新聞にフォトエッセイ『なんせんちょうむ』として3年間掲載しました。今回はその中から抜粋して皆さまに日韓の違いをお話しします。
日本に帰ってからは2012年ごろから、いわゆる竹島問題を機に嫌韓の風潮が強くなりました。私の韓国の認識とかなりギャップがある気がしたので、できるだけ多くの人が直接韓国を感じたり考えたりする機会を増やしたいと思い、『リバーリンク・プロジェクト』という名前で2014年から日韓の文化交流のイベントを始めました。このプロジェクトは10年続きましたが、その活動を通じ経験したことも皆さんと共有したいと思います。
●日 時: 2024年 5月19日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 湘南鎌倉クリスタルホテル 4Fパルティール
●テーマ: 『足利尊氏の生涯〜その真実と評価』
●講 師: 伊藤一美氏(鎌倉考古学研究所理事)
足利尊氏。その生涯は波乱に満ちた生き方だった。鎌倉御家人の名門足利家の嫡流として、執権北条氏との協力、そして姻戚関係を続けてきた結果が尊氏を誕生させた。足利を本領地にしながら、幕府重鎮として若き尊氏は育てられた。だが得宗政権北条氏と御内人の専権に、各地の御家人間にその不満が高まっていく。
尊氏自身、妻が北条守時の妹登子であった。子の義詮・基氏・直冬らを生むが、彼らの人生もまた波乱万丈ともいえるものだった。名門ゆえに尊氏への期待は次第に高まっていく。弟直義の着実な政治的行動は、刹那的な尊氏の行動とは一線を画すものといえる。直義の安穏を祈願する尊氏の文章にその一端が伺えるだろう。
こうした重荷を背負った尊氏自身、最後には後醍醐天皇とは袂を分つこととなる。自ら征夷大将軍として、鎌倉幕府体制を基盤として、京都と鎌倉を全国統治の起点とする。その実現は、義詮と基氏兄弟に託される。父尊氏の真実と評価はどのように考えられるのだろうか。
●日 時: 2024年 4月21日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『藤沢市南部の地名について〜片瀬、鵠沼、辻堂を中心として』
●講 師: 布施克彦氏(藤沢地名の会 副会長)
講演者が長年生活してきた藤沢市の南部には、藤沢市の北部とは違った地理的様相がみられる。それぞれの土地の持つ特徴と、過去からの自然の変化、そしてそこに繰り広げられてきた人々の営みを通し、その土地に付けられた地名の背景を探ってみた
い。近年の住居表示変更によって、残念ながら、過去の地名の多くが消滅してきてしまった。
本講演では特に、現在は多くが消えた小字(こあざ)に焦点を当てる。小字の生まれた経緯や、大字(おおあざ)あるいは集落名との違いを、行政区画の変遷の中で語ってゆく。また、今に残る一部の小字名が、人々の生活とどのように関わっているのかを見てゆく。
●日 時: 2024年 3月17日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『台風予測から台風制御へ』
●講 師: 中澤哲夫氏(東京大学大気海洋研究所学術支援職員、元気象研究所台風研究部長)
日本は自然災害に毎年のように見舞われ、地震や台風などの自然災害により、人的被害も経済的被害も極めて多い国です。私は気象庁で台風や台風になる前の熱帯低気圧の研究に30数年携わってきました。今日は、前半では、台風の予測がどのように行われてきたのか、その歴史と最新の技術について、まずお話しします。私がなぜこの道に進むようになったのかについても、少しだけお話しさせていただきます。後半は、最近、内閣府のイニシアティブで進められているムーンショット研究(ここ10年以内には実現できそうもない人類的課題に挑戦する野心的な研究。「ムーンショット」とは、ケネディ大統領が60年代に人類を月に送ると宣言したことに由来)のうち、気象制御の取り組みについて、その概要と課題についてお話しするつもりです。「台風を制御するなんて無理ですよね。」そんな声が聞こえてきそうですが、確かに制御なんて、すぐにはとてもできないかもしれません。でも、2050年までには、あと25年ほど先までにはぜひ実現させたいし、今チャレンジする価値は十分にありそうです。お楽しみに。
●日 時: 2024年 2月18日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『天孫降臨日の天体配置を描いたキトラ天文図』
●講 師: 桜田和之氏(日本天文考古学会理事)
奈良県明日香村のキトラ古墳の石室天井に描かれたキトラ天文図については、テレビや新聞などの報道でご存知の方も多いことと思います。この古墳は飛鳥時代の持統天皇の御代に造られたものですが、キトラ天文図の元図がいつどこで誰によってどのような経緯で描かれたのか、またその元図がどのようなルートで飛鳥時代の日本に伝わったのかはまったく分かっていません。文化庁によるこれまでの調査では、キトラ天文図には現代天文学の目から見て多くの誤りがあることも指摘されています。
講座では、この天文図の元図が武則天という女帝が統治していた唐(当時は「武周」王朝でした)の洛陽で、紀元前千年頃の古代中国の歴史をもとに描かれたものであって、ヤマト朝廷がそれに手を加えて、天孫降臨日の日の出のときの天体配置(太陽と月と星座の配置)にしたものであることを紹介します。『日本書紀』に記録されている天孫降臨がいつのことであったか、謎に包まれたキトラ古墳の被葬者が誰なのかも併せて明らかにします。
●日 時: 2024年 1月21日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『藤沢市の消防力と防災力』
●講 師: 北村守良氏(元藤沢市北消防署署長、元藤沢市防災危機管理室上級主査)
消防業務は、消防法、消防組織法などに基づき、市民の生命、身体および財産をあらゆる災害から守ること、またこれらを未然に防ぐことを目的としています。消防組織は、原則として各市町村の責任において行なわれるもので、藤沢市では、1つの消防局、2つの消防署、12の出張所、1つの分遣所があります。
消防をイメージする時、皆さんは火事と救急だけだと思っていませんか? 実は、その他にもいろいろな仕事があります。まずは、消防車は出来上がった消防車を購入していると思っていませんか。消防車は配置する場所により、大きさ、装備、能力などを設計し担当者が発注しますので、市内にある消防車は1台として同じ物はありません。藤沢市には、全国的に有名は湘南の海があり、多くの観光客が訪れますので、海での事故に対応するため、救急艇と水上バイクを装備した水難救助隊があります。また、藤沢市民病院の敷地内には、医師と連携して「救急業務の高度化と職員の教育体制の充実」に取り組むための「救急ワークステーション」があります。市民の皆様の救命率向上のため、救急隊員を中心としたメンバーで応急手当の普及啓発を行なっております。
今回は、藤沢市の消防力、防災力について、私の災害現場の体験を交えてお話をさせていただきます。
●日 時: 2023年 12月17日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『藤沢市で取り組むカーボンニュートラル』
●講 師: 塚原沙智子氏(慶應義塾大学環境情報学部准教授)
今年の夏の気温は過去に比べて飛び抜けて高く、野外の活動すら制限され、子どもも大人も夏の過ごし方が変わってしまった。気象災害も頻発し、「気候変動」の脅威はいよいよ身近に迫っている。世界中の科学者が最新の知見をまとめたレポート(IPCCレポート)は、子や孫の世代が被る被害はさらに増えると予測している。気候変動による影響を最小限に食い止めるには、2030年までに二酸化炭素などの温室効果ガスを半減させ、2050年までにはカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量と吸収量を相殺させ、ゼロ以下にすること)を達成する必要がある。そのような社会変革を短期間で起こすのは、とてつもなくチャレンジングであり、藤沢市でも行政・企業・市民が一丸となって、エネルギー自給や自然保護を進めていく必要がある。本講座では、カーボンニュートラルに向け、藤沢市にどんな可能性があるのか、未来の都市の姿について議論したい。
●日 時: 2023年 11月19日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『小田急線の歴史と沿線の都市化』
●講 師: 浜田弘明氏(桜美林大学教授)
1872(明治5)年に、日本で初めて新橋・横浜間に鉄道が敷設され、昨年で150年を迎えた。1890年代中盤以降、東京近郊では数々の鉄道敷設計画が打ち出され、相模原台地周辺では、中央線と東海道線をつなぐルートや都心と郊外を結ぶルートが多数提案された。前者のルートとしては、1908年に八王子と横浜を結ぶ横浜鉄道が実現した。後者のルートに東京と小田原・箱根方面の観光地を結ぶ小田急本線(小田原線)が開通し、続く1929年には江ノ島線が開通し、江ノ島・鎌倉と直結する。
小田急電鉄は沿線開発として、学園都市や遊園地の開発に取り組むが、戦時下になると相模原や大和の軍都計画の進行とともにその開発は大きく変わる。敗戦後は、東京西郊の急速な都市化とともに、通勤路線としての重要性を増し、今日では首都圏有数の通勤路線となっている。本講座では、こうした鉄道と地域の進展との関わりについて俯瞰してみたい。
●日 時: 2023年 10月15日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『シニアからの釣りの楽しみ』
●講 師: 和泉 裕 氏(藤沢三田会幹事、同釣り部会部会長)
シニアになると時間が生まれます。都心へ通勤していた方、地元でも仕事に追われていた方が身近な釣りからやってみる。もしくは魚類を研究してみる。これからのライフワークとして海の中のことはまだ知られていないことがたくさんあります。また、釣りはただ釣ることだけでなく釣る魚の生態を調べ、どのように回遊し生息し繁殖するかを知り、資源保護も考えつつ釣るものだと考えます。シニアからの釣りは何でもかんでも挑戦するわけにはいきません。筋力、体幹が十分にあれば過酷な自然にも立ち向かえますが、まずは安全重視で無理をしないこと。
また、コストをかけずに釣りを楽しむ方法。釣りは魚が針に掛かって釣り上げる時がもちろん最上の瞬間ですが、釣るだけでなく仕掛けを自分で作ったり、釣った魚を自分で捌いて料理したり「釣りの前後」にある楽しみ方を本講座では紹介します。
●日 時: 2023年 9月17日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『手紙から見る徳川家康の75年〜生きた時代背景を垣間見る』
●講 師: 伊藤一美氏(鎌倉考古学研究所理事)
徳川家康。その行動と彼の生き方は現代人にとってもさまざまに影響を与えているといってよい。企業人であれば「創業者」としての家康像をそこにみるだろうし、戦国大名に成長する過程を重視する、いわば株式会社「徳川幕府」の創設をイメージしようか。また人間としても、なだたる天下人織田信長、豊臣秀吉、そして戦国大名の今川・武田・北条氏などに挟まれ、翻弄されながらも領国三河を創り上げる過程を成長の証しとして注目するはずだ。それは「人間家康」の生き方を考えることでもあるだろう。
今回も大河ドラマ「どうする家康」に因み、表記のテーマで戦国から近世初頭の「家康」が生きた時代を通史的にお話ししたい。その際に、なるべく肉声が聞こえるような「手紙=書状」をベースにしていきたい。そして戦いばかりの世界と思われがちな「戦国時代」こそ、「人」と「自分」のかかわりを大事にしていくことが求められていると考えている。こうした視点から、家康が日常に出していた「手紙」を題材に取り上げる。もちろん戦いにかかわるものが多いが、なるべくふだんの生活レベルのものを選んでいく。家康の「人間観」が見えてくるはずだ。最初の妻と長男を死なせた経験が、その後の子や孫たちへの想いとなって「手紙」にも表れてくるはずだ。ここに改めて「家康」の生きた75年間を振り返ってみることとする。
●日 時: 2023年 8月20日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『地域の魅力とSDGs』
●講 師: 田中美乃里氏(NOP法人地域魅力理事長、慶應義塾大学非常勤講師)
海水浴シーズン真っただ中。湘南のビーチには若者やファミリー層を中心に多くの観光客が訪れ、開放的な夏の日を謳歌していく。一方、観光地ならではの苦悩もある。自然環境に危害を及ぼすほどのゴミ問題や、経済活性と静穏な住環境それぞれを求める人々の間に生まれる対立などは、高度成長期以降いまだに地域社会において課題のままだ。2015年に国連総会で採択され、近年盛んに掲げられるSDGs(*)とは、遠い国際社会のものだけではない。身近な問題解決のためにツールとして活かすことはできるのか。また、そのメリットとは何か。
2006年に創立したNPO法人地域魅力では「地域の魅力を伝える、高める。」をコンセプトに、魅力を切り口として、シビックプライドの醸成や市民参加の促進につながる事業を行なってきた。本講演では、神奈川県逗子市において複数の団体等が協働して地域課題に取り組む事例を紹介しながら、SDGsの持つ「共感のしやすさ」「共通言語化」の力を紐解いていく。
(* Sustainable Development Goals: 持続的な開発目標)
●日 時: 2023年 7月16日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『翻訳者から見たエマニュエル・トッド〜歴史人類学者は現代世界をどう捉えるか』
●講 師: 堀 茂樹氏(慶應義塾大学名誉教授)
エマニュエル・トッドは、1951年生まれのユダヤ系フランス人である。1976年に弱冠25歳で上梓した人口学的分析の書『最後の転落』により、当時なお健在と思われていたソビエト連邦の崩壊を予言して以来、今日に至るまで、世界中の家族、宗教、教育の歴史的推移を研究し、その視点から現代の政治・経済を考察する人類学者として、非常に豊かな領域横断的社会科学の仕事を成し遂げてきた。同時に彼は現代社会の諸問題に関する著名なオピニオンリーダーでもある。
このE・トッドの人柄や家族的背景、学歴を簡単に言及した上で、彼が長年の研究によって何を明らかにしてきたかを、構造主義的発見(研究前期)と伝搬理論による発見(研究後期)を識別しながらトータルに紹介する。主に依拠するのは、トッドが2017年に世に問うた集大成的著作『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』(上下巻、堀 茂樹訳、文藝春秋、2022年)である。
●日 時: 2023年 6月18日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『お寺と神社の楽しみ方』
●講 師: 田𢌞良弘氏(寺社研究家、元横浜商科大学教授)
お寺と神社の楽しみ方もいろいろある。御朱印、札所巡り、仏像など興味深い分野は多い。また、初詣、節分、お盆、厄除け、縁結びなど「お寺と神社」に触れる機会もある。ここでは「神と仏の源流を探る」を副題として「楽しみ方「を深める一助としたい。
はじめに、磐座、巨石をはじめ、山岳信仰などの自然信仰と古事記、日本書紀などの日本神話との深い繋がりから「神」を探る。八幡伸、稲荷神、恵比寿神、金比羅神などの神道、伊勢、熊野、住吉、諏訪信仰など神話を織り交ぜながら「神」の源流を探る。
次に、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗、融通念仏宗、時宗などの日本の伝統仏教13宗に「仏」を探る。各宗派の源流「釈迦の原始仏教」とその変遷、仏像誕生の背景などをみる。
最後に、「神と仏」の出会い、神仏習合を取り上げる。私たちが「神」と「仏」を区別なく受け入れる、世界でも珍しい「日本の文化」にも触れる。
●日 時: 2023年 5月28日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『サウジアラビア〜知られざるベールの下の女性の素顔』
●講 師: 郡司みさお氏(片倉もとこ記念砂漠文化財団 理事)』
数年前まで鎖国状態で観光ビザではなく、自由に入国できなかった王国。夏は摂氏50度以上になる灼熱の砂漠の国では、車のボンネットで目玉焼きが焼け、乾燥した地では乾燥洗濯機は不要。ドアを開ければオーブンの熱気とドライヤーの風。
多くの部族が群雄割拠していたアラビア半島は1932年、サウード家初代国王によって統一された。できたばかりの若い国に大量の原油が米国企業によって発見されたのは、それから間もなくのことだ。道路のない国にアスファルトの道ができ、急に豊かになった人々はラクダから高級アメ車に乗り換えた・・・。
イスラムの掟が最も厳しい国では、男女は同席できない? 女性は黒い布で身体を隠さねばならない? 女性たちはどんな生活を送っている?
当局より特別のビザを得て年に5〜6回サウジを訪問・調査してきた筆者は、女性だからこそサウジ女性の世界に入り込めた。その体験をもとに、ベールの下の最新情報をお届けする。
●日 時: 2023年 4月16日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『「移民国家」に向かう日本〜多文化共生の道』
●講 師: 藤巻秀樹氏 (元日本経済新聞編集委員、元北海道教育大学教授)
日本の外国人労働者の数は昨年10月末で約182万人とコロナ禍にもかかわらず、過去最高を記録した。人口減少が続くなか、中小製造業や農業、水産業、介護、外食産業などの人手不足は深刻で、今後外国人労働力への依存は一層高まる見通しだ。日本はこれまで専門的・技術的分野以外のいわゆる単純労働者は受け入れない方針を貫いてきたが、2018年の入管法改正で新在留資格「特定技能」を設け、「労働開国」に踏み切った。だが、政府は「移民受け入れとは違う」と説明、外国人の社会統合を視野に入れた本格的な移民政策をとろうとしていない。
移民大国のフランスもドイツも労働力不足を補うために外国人労働者を受け入れたが、彼らはいずれ祖国に帰るものと思っていた。ところが、外国人は家族を呼び寄せ、しだいに定着し、両国は移民国家になっていった。日本も同じ道を歩もうとしている。自覚なき移民政策の行きつく果ては…。いま日本に求められるのは、異なる文化を持つ人々を差別なく受け入れ、共に生きる「多文化共生社会」への道ではないだろうか。
●日 時: 2023年 3月19日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『藤沢在住の映画監督が語る映画の魅力』
●講 師: 三澤拓哉 氏 (映画監督、映像制作会社「風像」代表)
極論ですが、映画は2つの種類に分けることができます。その2種類とは「面白い映画」と「面白くない映画」です。本講座では、藤沢在住の映画監督である私、三澤拓也が「映画の楽しみ方」をご紹介します。
「面白い」、「面白くない」という各個人が持つ感想に対して、果たして他人が「楽しみ方」を共有することができるのでしょうか? 私はできると思っています。そのためのヒントとして、映画監督という作り手の目線から、どのように映画を鑑賞しているかをお話しします。私が受験生だった頃、よく言われたのは「出題者の気持ちになって問題を解きましょう」でした。作り手の視点を持つことで、今までとは違う映画体験ができるかもしれません。
また、講座では映画史から見た湘南の魅力についても触れる予定です。受講生の皆様が持つ「映画」と「湘南」のイメージに新たな視点を加えることができれば、と思っています。
●日 時: 2023年 2月19日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『いきいきとした脳を保つために』
●講 師: 大上哲也 氏 (日本薬科大学薬学部教授)
我が国の高齢化率は28%にのぼり、65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍(経度認知障害)といわれており、認知症は深刻な社会問題になっている。日本薬科大学大上研究室では、高齢者を対象に「いきいき脳健康教室」を埼玉県をはじめ各地で開催し、認知症の早期発見・早期対応等、認知症に関する研究を遂行している。本講座では、その一部を紹介したい。
(1) 「脳の衰え」を早期に捉える:体温計や血圧計のように、誰もが簡単に脳の衰えを測定できる計測器があればよいのだが、十分なものがないのが現状である。我々は、「脳の衰え」を早期に捉えるべく、研究に取り組んでいる。
(2) 楽しく「脳のトレーニング」を一緒にしよう:本講演では、誰もが避けて通ることができない「脳の衰え」について学ぶだけではなく、生き生きとした脳をいつまでも保つために、聴講の皆様と一緒に脳の活性化トレーニングを楽しくやりたい。
●日 時: 2023年 1月15日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『一流ホテルから学ぶ接客力』
●講 師: 小池修一 氏 (元帝国ホテル支配人、馬車道十番館顧問)
第3次産業が扱う商品の中でサービスという非物質で形のない品物によって消費者のニーズを満たすためには、提供側は人そのものが持つ意識・心理・動作等の知識を持っておく必要がある。それは商品を購入するにあたって両者の間に良好かつ円滑な関係を保たなければならないということが大前提にあるからである。すなわち、十人十色それぞれ必要としていることや感じ方が異なっている顧客に事前期待を上回る気持ちにさせるには、人の持つ情緒面の「感情」「気持ち」「共感」「喜び」「安心」など、満足への誘導の鍵となる要素を身につけておかねばならないということである。顧客の見え隠れするニーズ(必要としていること)やウォンツ(欲求)を読み取り、それらを表現するためのセンス、マナー、作法、礼儀、言葉を意識の中に準備し、常にお客様がどのように感じているかを敏感に察知する「気づき」「気配り」「気遣い」が必要になってくる。
講演の内容は上に述べた「顧客満足視点」「顧客心理」「対人関係能力」「おもてなしの心」などのサービス論を分かりやすく、自身が体験したエピソード事例を引用解説しながら進めていく。
●日 時: 2022年 12月18日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『世界の自然と自然、人と人をつなぐ渡り鳥』
●講 師: 樋口広芳 氏 (東京大学名誉教授、慶應義塾大学訪問教授)
鳥たちの多くは、毎年春と秋、数千キロあるいは1万キロを超す長距離の季節移動「渡り」をする。鳥たちはこの過程で、各地の自然から水や食物を得ることによって命をつなぎ、次の目的地にたどり着くことができる。同時に鳥たちは、その渡りの行動を通じて各地の自然が健全に保たれることに貢献している。渡り鳥の存在がなければ、各地で特定の生き物が増殖し、生態系のバランスが崩れる可能性がある。世界各地の自然、生態系は、渡り鳥によってつながり、維持されていると言える。さらに渡り鳥は、渡り経路上にくらす人と人をも結びつけている。同じ鳥の群れを遠く離れた国や地域の人たちが見ることによって、知識や情報が共有され、人と人との交流が生まれる。数ある生きものの中で、このような役割を果たしているものは他にはいない。
本講演では、こうした渡り鳥がもたらす自然と自然、人と人とのつながりの実態を、最新の科学的手法を用いた研究の成果を通して紹介したい。
●日 時: 2022年 11月20日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館(善行市民センター)3Fホール
●テーマ: 『野鳥撮影の楽しみ〜晴鳥雨読の日々』
●講 師: 小川克彦氏 (元慶應義塾大学教授)
「幸せの青い鳥は身近にいるよ」と結婚式でよく話をします。メーテルリンクの話ではなくて、身近にいるのだけど見つけようと思わないと見えないカワセミのことです。カワセミに魅せられ近所の池で野鳥撮影を始めたのが60歳のときでした。それまでは散歩に出かけてもカワセミをはじめ、さまざまな野鳥が暮らしていることにまったく気づきませんでした。
野鳥を趣味にして良かったことが3つあります。ひとつは職場中心だった生活が地元中心になり近所に知り合いができたことです。それとカメラをかついで歩くので、自然と運動になることです。晴れた日はアウトドアで健康にとってもいいです。最後は暇がないことです。今はまだ仕事がありますが、退職して家にばかりいると妻に迷惑だし、何よりも朝起きたときにその日の目標があることです。
講座ではそんな晴鳥雨読のなか、可愛い野鳥の写真を紹介しながら、野鳥観察や趣味の楽しさをお話しできたらと思います。
●日 時: 2022年10月16日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『ゴルフにまつわるエトセトラ』
●講 師: 根来 行介 氏 (善行雑学大学 理事)
ゴルフのルールが成文化されてから300年近く経っています。「ひとたび打ち出したボールはカップインするまで触ってはいけない」というような不変のルールもありますが、違反ではないゴルファーの行為が新しいルールを作ってしまった例があります。戦争中のゴルファーの行動にも興味深いエピソードがありますし、ゴルフ史に内科医や外科医は登場しないのに、歯科医がなぜか3回も登場するということも面白いエピソードだと思います。
「知識の数だけゴルフは楽し」という言葉がありますが、ゴルフを楽しんでいる方にも「そんなことは知らなかった!」と言って頂けるエピソードを、ゴルフをやらない方にも「へぇ~~」と思って頂けるエピソードをいくつかご紹介したいと思っています。
また、善行雑学大学が長年にわたって保存再生活動に取り組み、近年、国の登録有形文化財に指定された「グリーンハウス」(旧藤澤カントリー倶楽部のクラブハウス)についても詳しくご紹介します。
●日 時: 2022年 9月18日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『北条義時と三浦義村 〜前期「鎌倉政権」を創造する二人』
●講 師: 伊藤 一美 氏(鎌倉考古学研究所 理事)
北条義時、その生きた時代は東国に一つの「磁場」が生まれていく過程と言っても良いだろう。長寛元年(1163年)
生まれの義時、母は伊東祐親の女。伊豆国を預かる在庁官人の「イエ」同志。いわば地方武士の次世代誕生であった。
三浦義村も母は伊東祐親の女であった。この結びつきには祖父義明の配慮が働いたであろうことは想像がつく。つまり北条政子・義時とは、母方を通じた「いとこ同士」であった。
こうした経過から義時の「義」字は、おそらくは三浦氏嫡流家三浦義明から「義」名を与えられたと先学は指摘している。すなわち北条氏にとって、三浦氏は「烏帽子親」(仮の親子関係)というべき有力者であるとともに親族グループであったのだ。
これまでの研究では、北条と三浦は「対立関係」の有力武士団と考えられてきた。両氏はそれぞれの生き方を模索しながら「対立」もあったはずだが、それを「克服」していこうとしてきた「歴史」に注目して見たいと思う。
●日 時: 2022年 8月21日(日)午後2時〜午後4時(1時半受付開始)
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『障がいのある人達の生活を豊かにするためのテクノロジー』
●講 師: 中野 泰志 氏(慶應義塾大学経済学部教授)
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、障がいのある人がテレビ番組やコマーシャル等のマスメディアに登場する機会が増え、関心が高まってきている。また、パラスポーツ、ユニバーサルデザイン、インクルーシブ教育、心のバリアフリー等の言葉が普及し、共生社会を目指す取り組みが加速しつつある。
一方、デジタル庁が創設され、AI、IoT、ビッグデータ等のテクノロジーを活用した未来社会Society5.0を目指した取り組みが加速しており、障がいのある人達が取り残されてしまうのではないかという懸念も出てきている。
本講演では、障がいのある人たちの生活を豊かにするテクノロジーの例を紹介しつつ、Society5.0を障がいの有無に関わらず、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会にするために必要な考え方について議論する。
●日 時: 2022年 7月17日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『魏志倭人伝は信じるに足る歴史書か? 〜NHK番組「邪馬台国サミット2021」の結論への反証』
●講 師: 古宮誠一 氏(芝浦工業大学名誉教授、元国立情報学研究所特任教授)
この講演では最初に、真実の歴史を記述して残すことに懸ける中国の歴史記録官の執念を示すエピソードを紹介する。中国の歴史記録官達がこの精神に基づいて記録した歴史書として最も信頼できるものは、中国の歴代王朝が作成した歴史書(正史と呼ばれている)である。幸いなことに、中国の歴史記録官達は、公式ルートを通して得られた日本列島の歴史についても、正史の中に記録して残している。したがって、中国の歴史王朝が作成した正史を紐解けば、日本列島の真実の歴史を明らかにすることができる。
正史の中でも魏志倭人伝は、倭人の国に関するまとまった記事を記録した最初の歴史書である。名著の誇りが高く、著者陳寿にとっては、自分が生きていた時代の記録なので、極めて信頼性が高いと評価されている。しかし、2021年に放映されたNHK「邪馬台国サミット」では、出演者(専門家)らが一致して、魏志倭人伝の記述は信用できないと主張していた。この講演では魏志倭人伝の記述内容が極めて信頼性が高いことを証明した上で、魏志倭人伝の記述などから得られた情報を元に、倭国の正体を明らかにするとともに、倭国の女王卑弥呼の国の都(宮殿)の所在地を明らかにする。ちなみに倭国の都であると比定したその地から、1992年11月に宮殿群が出土した。
●日 時: 2022年 6月19日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『ボケない生き方』
●講 師: 山本 啓一 氏(千葉大学名誉教授)
ボケの初期症状は、覚えられない(記憶を作れない)、思い出せない(記憶を呼び起こせない)なので、まず脳の中で記憶が作られる過程について説明する。
脳の表面(大脳皮質)には、視覚・聴覚・嗅覚・接触感覚などの情報が集まる部位が散在している。それらの情報を集め、記憶を作るのは海馬。記憶は前頭葉に保存され、その呼び出しにも海馬が関わる。脳の神経細胞は増殖せず、10歳以上になると減りだす。しかし、海馬の細胞は年をとっても増殖する。新しい記憶を今までの記憶と結びつけるために細胞が必要だからである。したがって、海馬細胞が適切に増えないことがボケの原因と考えられる。そうなるのは海馬細胞の増殖を妨害する物質が全身の老化細胞から放出されるためである。
ボケないためには、細胞の老化を抑え、その有害物質を減らすこと、すなわち、バランスの良い食事をとり、運動をして血液循環を良くすること。そして、脳を適度に使い、ストレスを与えないこと、すなわち、頭を使い、よく眠り、生活を楽しむこと。ただし、不老不死が無理なように、ボケない人はいない。ボケは仕方ないと悟ることも必要である。
●日 時: 2022年 5月15日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『スポーツを科学する』
●講 師: 仰木 裕嗣 氏(慶應義塾大学政策・メディア研究科兼環境情報学部教授)
この講演では、2つのトピックについて取り上げたい。一つ目は、記憶に新しい東京2020オリンピック・パラリンピック、そして北京2022オリンピック・パラリンピックを支えた科学技術についてである。過去最多にのぼった日本のメダル数は喜ばしいことであった。その裏側ではアスリートやコーチを支える技術開発や、試合運営を支える新規技術などが次々と登場しており、まさに科学技術がスポーツに貢献したと言える。東京2020、ならびに北京2022を振り返ってスポーツにまつわる科学技術の貢献について紹介したい。
二つ目の話題は、「コツ」の科学である。スポーツ選手がみせる華麗な技だけでなく、我々が日頃親しんでいる身近なスポーツにおける「コツ」とは何か? 良い動きとは何か? という話題について、水泳、ゴルフ、さらには最も基本的なヒトの運動である歩きなどについて分かりやすく解説したい。
●日 時: 2022年 4月17日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『安定的な皇位継承のために 〜議論の前に知っておくべきこと〜』
●講 師: 片岡 信弘 氏(元東海大学教授、インタプライズ研究所主宰)
天皇の次世代の後継者が実質的に一人(悠仁親王)になってから皇位継承者として女性を認めるべきかの議論が高まっている。2019年9月のNHK世論調査でも女性が天皇になることを70%以上が賛成している。しかし、女性天皇と女系天皇の区別については、半数以上の人がその違いをよく知らないとしている。また、2022年1月のNHK世論調査では、皇族数確保のために「旧皇族男系男子を養子に迎える」に対して賛成が反対を上回っている。しかし、旧皇族とは今から600年以上前の南北朝の時代に分かれた伏見宮家の人々である。天皇は「日本国民統合の象徴」であると共に、日本民族の代表としての天皇家の先祖の祭祀の役割を持っている。
皇位継承に関する議論は、以上で述べたような事柄を十分認識した上で行なう必要がある。これらを踏まえ、皇位はどのように継承されてきたか、皇室典範(旧、新)ではどのような規定をしてきたか、皇位継承はどのようにあらねばならないか、制度改革はいつ行なうべきかについて述べる。
●日 時: 2022年 3月20日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『日本の世界遺産の現状 ー日本の世界遺産の歴史と各遺産の問題点』
●講 師: 大西 順三 氏(湘南ふじさわ学びネット講師、日本地名研究所会員)
世界遺産は次世代に継承すべき至宝であり、かけがえのない地球の宝である。しかしながら、我が国では世界遺産は旅の目的地として憧れの対象となり、また地域にとっては観光客を招き寄せてくれる究極の「地域おこし」だと捉えられ、各地で世界遺産登録を目指して熱を帯びている。
この結果、世界遺産の保護という本来の目的が忘れられ、世界遺産を利用した地域の観光地化という方向に進んでいる状況が気にかかる。
日本の世界遺産の歴史と、間違った方向に進んでいる、あるいは進みかけている、日本の世界遺産の問題点を見てみよう。
第273回(2/20)の講座は、オミクロン株感染拡大のため、講座を中止といたしました。
●日 時: 2022年 1月16日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『我が国の輸出(貿易)管理制度について』
●講 師: 藤井弘史氏(安全保証貿易情報センター 調査研究部 主任研究員)
米中関係や数年前の韓国向け半導体材料等で最近注目されることが多い輸出管理であるが、その法制度が複雑である上に管理品目が多岐にわたり理解が用意でない分野である。講師は日立製作所とその関連会社勤務時代より輸出管理に携わり、現在CISTECという我が国唯一の輸出管理に関する民間非営利機関に所属指定している。CISTECでは生物化学兵器製造装置と化学物質の担当であるが、CISTECが開催する各種研修会の講師や出版物の執筆を通じ、輸出管理の雑学としての面白さも認識している。
当日の説明は、まず輸出管理とは何か、からスタートし、我が国の輸出(貿易)管理法制度の全体像に関する説明、続いて講師の専門分野である生物化学兵器に加え、核・原子力、ミサイル等の輸出管理品目各論の説明、最後になぜ我が国企業が米国の再輸出規制にまで注力しているかについてその概要について説明する。
●日 時: 2021年 12月19日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『湘南工科大学の地域連携とデザインの役割』
●講 師: 禹 在勇氏(湘南工科大学総合デザイン学科教授 地域連携センターセンター長)
大学は今、地域の多様な課題に対して、地域を連携し、ソリューションを提供する場として求められている。
本学では『社会に貢献する技術者の育成』を大学の方針として掲げ、社会貢献活動などを行なっている。それに加えて、これらの活動を「点」から「面」へと描き、さらに大学の知と地域の力を融合し、地域内外や地域間をつなぎ地方創生や持続可能な社会を作ることを目的として、昨年10月に湘南工科大学の地域連携センターが設立された。
さて、今日は「デザインの時代」と言われている。そもそも、デザインは意匠である。意匠とは何か。意匠とは、意と匠の2つの漢字からなる。心の中に浮かぶ願いを音に現わして仲間に伝え、斧のような道具を用いて箱を制作することで、その心の中の想いや願いを充たしていく総合的な科学であると考えられる。総じて私たちは、デザイン/意匠という心の音を、斧を用いて具体的な箱に作り上げていくのである。
ここでは地域連携とデザインの役割について皆様と一緒に考え、将来の地域のデザインを意識して思考する時間にしたい。
●日 時: 2021年 11月21日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『明治維新と現代』
●講 師: 松延 康隆氏(歴史研究家・松延康隆歴史講座主宰)
関東軍作戦参謀として柳条湖事件、満州事変を主導した石原莞爾は「世界最終戦論」などの著作により卓抜な戦争史観をもつ思想家としても知られる。石原中将は日中戦争から太平洋戦争に至る過程で、東條英機と対立して太平洋戦争開戦前に現役から予備役とされたこともあって、敗戦後の連合国による戦犯指定を免れている。
ところで石原は連合国がA級戦犯に指定した日本の戦争指導者を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)に対し、ペリーの来航にさかのぼって戦争責任を問うべきだと批判している。欧米列強の圧力の下での開国と明治新政府の成立がその後の日本の対外政策に与えた意味をとらえ返すとき、石原の言はある意味で正鵠を得ていると私には思える。今回、ペリーの来航と明治維新を問うことによって、現在にまでつながる日本の対外姿勢の「歪み」を考えてみたい。
●日 時: 2021年 10月17日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『三菱のあゆみ〜ゆるぎない理念・たゆみない進化』
●講 師: 村橋 俊樹氏(三菱経済研究所 常務理事)
三菱の事業の源は、土佐藩開成館が行なっていた海運・貿易にある。1870(明治3)年、岩崎彌太郎の監督の下、私商社九十九商会が設立され、この事業を受け継いだ。三菱の創業である。
昨年2020年は創業150周年にあたる。この間の三菱のあゆみを概観したい。約150年のあゆみを仮に大別するとしたならば2つの時期に分けることができよう。創業から1946(昭和21)年、三菱本社解散までとそれ以降の時代である。概略すれば、前者は岩崎彌太郎、彌之助、久彌、小彌太が創業者または社長として、三菱の事業を全体として統括していた。そして、後者は三菱各社がそれぞれの分野で独立した企業として発展してきた。
三菱のゆるぎのない経営理念として「三綱領」がある。「所期奉公、処事光明、立業貿易」である。この経営理念の内容、制定の背景について紹介したい。また、三菱の現在に至るまでのあゆみは、世界のさまざまな変化に対応して、たゆみない進化を積み重ねてきたものであることについても話したい。
●日 時: 2021年 9月19日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『鎌倉幕府宿老御家人からみた「義時」政権』
●講 師: 伊藤 一美氏(鎌倉考古学研究所理事)
北条義時の評価は戦前と戦後では大きく異なる。それは尊氏と義貞の評価にも等しいほどであった。すなわち、天皇を廃立して三上皇をも島流しをするという「大挙」をなした人物として考えられてきたからである。だが、こうした政治処断を彼一人が個人としてできるものではないはずである。当時の政治社会に置き直してみれば、彼が育ってきた時代は、カリスマ将軍頼朝が突然死し、頼家・実朝という源家将軍最後の時代であった。その背後には、東国武士の「意思」をどのように「政治意識」として吸い上げ「具現化」していくか、その厳しい「観察者」たちの「眼」があったといえるのではないだろうか。「観察者の眼」とはつまり大多数の御家人らの「眼」であったのだ。「反乱者」政権朝廷・摂関家権力にその実力を認めさせ、東国政権として相対化させた、その原動力は決して「義時」個人ではない。こうした意味から鎌倉政権が奇しくも創造した「宿老」集団こそ、その原動力であったと考えている。それはまた体制内に多くの矛盾をも持ち込むこととなったのである。「義時」はその時代の代表に祭り上げられたと言えるだろう。その張本人は、鎌倉幕府の有識奉行人たち、すなわち『吾妻鏡』の編纂者たちであったのだ、と妄想する。
●日 時: 2021年 8月15日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『日野原重明先生から学んだ健康長寿の秘訣』
●講 師: 中島 良能氏(日野原重明記念管弦楽団指揮者)
日野原先生は2017年に105歳の人生をまっとうされた。私は先生の設立された「新老人の会」の神奈川支部が2007年藤沢に発足し、その時の記念演奏会で演奏し知遇を得た。
当時私は湘南エールアンサンブル名でプロとしての演奏活動を行なっていたが、日野原重明祝祭(記念)管弦楽団の名前を頂き、その後大小50回に上る演奏活動を首都圏各地で行なってきた。2009年にはボストン、ニューヨークにも同道演奏した。没後2018年には先生が生前愛されたフォーレのレクイエムを演奏して追悼した。
私はこの間多くの教えを頂いた。先生の長寿法は医師でありながら食事等の身体的なものではなく、心と体の健康は一体であるとの考えから常に精神的なものだった。人間には使われていない遺伝子が多くあるので、何歳になっても新しい事を創めるようにと強調された。音楽を重視され、また亡くなる直前には Keep on Going (前進また前進)という言葉を残されたのは有名である。先生の講演は常に2ヶ月前に売切れまた2年先まで予定が埋まっていた。その国民的人気の秘密は何より先生自身が100歳で元気に活動しているからで、同じことを受売りで解説しても意味がない。私は当時先生の「新しい事を創めよ」のモデルとして取り上げて頂いたが、先生の教えを実感し体得したのはごく最近のことである。今回は生前の収録動画と私の体験を通して、日野原式長寿法の神髄をお伝えしたい。
●日 時: 2021年 7月18日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『海のプラスチック問題〜海の環境だけでない人の健康への脅威』
●講 師: 広海 十朗氏(日本大学生物資源科学部特任教授)
2015年9月の国連サミットで採択され、2030年までに達成するという国際的な目標 SDGs(持続可能な開発目標)。全部で17ある目標の中で14番目の目標であるSDG14「海の豊かさを守ろう」というゴールの前には幾多の壁が立ちはだかっているが、今や海のプラスチックのゴミ問題も大きな壁となっている。しかしながら、このゴミ問題には一向に解決する兆しが見られない。本講演では、海の豊かさを守る上でもはや看過できない海洋プラスチック問題の脅威について解説する。海のプラスチック問題は、一般に海の環境保全という範疇に括られることが多いが、人の健康を損なう可能性があることはあまり知られていない。これは「すべての人に健康と福祉を」というSDG3の目標達成の妨げになるものだ。本講演では海洋プラスチックの人の健康への脅威についてもあわせて解説する。その上で海洋プラスチック問題の打開を目指し私たちの取るべき行動はいかにあるべきか、について共に考えたい。
●日 時: 2021年 6月20日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『国会の機能と外交〜国会を「再考」する』
●講 師: 桜川明巧氏(金沢工業大学教授・国際学研究所所長)
昭和22(1947)年5月3日に日本国憲法が施行され、明治憲法下の帝国議会に比べてまったく一新された国会が同年5月20日に招集。それから70年あまり、国会回次は200回を超えた。しかし、最近の国会のあり様に対する世論の評価は相当に手厳しい。ある世論調査によれば、「政党や政治家に日本の問題解決は期待できない」とする回答がなんと7割を占め、国会が「言論の府」に値すると答えたのはわずか9%に過ぎないという。
憲法41条は「国会は国権の最高機関であって、國の唯一の立法機関である」と定める。主権者である国民が直接選ぶ議員で構成し、最もよく国民の意志を反映するとされることから、立法府・行政府・司法府の三権のうち、立法府である国会が最も重要な国家期間と位置づけられ、また國の法律の制定・改廃は国会だけの権能であるとされる。
その国会は、いま国民からレッドカードを突き付けられているといってよい。国会に求められていることは何か、国会がその機能を十分に発揮し、「国民の厳粛な信託」(憲法前文)に応えるにはどうすべきなのか。これらの問題について、国会職員として長く政治・外交・安全保障に関する調査業務に携わってきた経験や知見に基づいて考え、国権の「最高」期間である国会を「再考」する一助としたい。
●日 時: 2021年 5月16日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『将来のための歴史〜学ぶ楽しさ〜』
●講 師: 安田 震一氏(多摩大学副学長&グローバルスタディーズ学部長)
地元を踏みしめると海外につながる、要するに藤沢・湘南の歴史から海外との接点を検証する。歴史の重要性についてお話することが本日の趣旨です。歴史を理解することで現在・今日、さらには未来が読める鍵になります。そこで歴史に対する考え方を共有できればと思います。
大森貝塚の発掘で知られているエドワード・S・モースは1877年の夏に調査のため滞在した江の島。その時の興味深い感想が『日本その日その日』(Japan Day by Day, 1917年)につづられています。その記述から外国人が見た当時の日本や日本人の気質、特徴、考え方を知ることができます。
また、1880年代にイギリスの『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』の特派員として来日したイギリス人のチャールズ・ワーグマンが書き記し、描いた日本や日本人から当時の日本観が読み取ることができます。ワーグマンはその後『ジャパン・パンチ』を立ち上げ、日本在住の外国人に様々な情報を提供しました。
過去の日本像を検証することで今後、外国および外国人に藤沢を発信することは本学部が目指すところでもあります。藤沢、広く言えば湘南を海外に発信することのつながりが理解できるかと思います。
●日 時: 2021年 4月18日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館3Fホール
●テーマ: 『駿河湾のサクラエビがいなくなった!』
●講 師: 大森 信氏(東京海洋大学名誉教授)
静岡県を代表する食材サクラエビ。今年の春漁は漁師らの自主規制はあったとはいえ、明治期に本格的に始まった漁業史上最低の水揚げ量に沈んだ。なぜサクラエビは「いなくなった」のか。かつてサクラエビの生物学と漁業について研究し、現在も漁業回復のための助言を求められている演者が、原因と対策について仮設をもとに解説する。
各地で漁業資源の枯渇が報じられ、日本近海の漁業は衰退の一途をたどっているが、漁業はけっして衰退産業ではない。資源管理に積極的に取り組んでいる諸外国の漁業は持続可能な成長産業になっている。カギは資源管理ができる漁業規則である。水産物に対する消費者の意識改革も必要かもしれない。
第262回(3/21)は、緊急事態宣言延長のため、中止といたしました。
第261回講座(2/21)は、コロナ非常事態宣言で公民館が使用禁止となったため、中止といたしました。
第260回講座(1/17)は、コロナ非常事態宣言で公民館が使用禁止となったため、中止といたしました。
第259回講座(12/20)は講師の都合*により、中止といたしました。
*講師が濃厚接触者となられたため。
●日 時: 2020年 11月15日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館ホール
●テーマ: 『日本人の英語下手 本当の原因』
●講 師: 中田憲三氏(元玉川大学文学部教授)
英語下手は国民的課題。原因は2+1系統に分かれる。第1は日本語の特異性による。日本語は発音は簡単だが、構造も概念(意味)も異なる漢語、大和語、擬態語の寄集めで、人により運用能力の一貫性を欠く。習得も困難で時間がかかる。音の聞き方が西洋人とは左右逆で、脳の使い方が左脳偏重、両脳使いの英語が覚えにくい。英語に向き不向き化は両脳運動でたちどころに判明。脳を矯正すれば発音も聞こえてくる。英語は音楽的で躍動的、ボサノバとリズムパターンが心地よく脳に響く。中田式は脳を活性化、認知症を防ぐ。第2の原因は母語の獲得が科学的に不明だから。母語は発音から、外国語は意味や文法から出発。言語の原料は発音。言語に進化していく変化の過程を解明できなければ、外国語学習での脳の使い方が分からず失敗しやすい。
+1の原因は、今起こりつつある問題。安易に日本語に英語をあてがうと国語破壊を起こす。日本人は英語に憧れ英語に弱い。
●日 時: 2020年10月18日(日) 午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館ホール
●テーマ: 日本人が知らない「日本の誘導弾」開発物語
●講 師: 岸田 彰二氏 (三菱電機OB)
「日本の誘導弾」の研究・開発作業に永年直接携わった者の一人として感じることは、わが国の対空防衛能力を強化する装備品の開発を、米軍も驚くほどの成果をあげ実現したのでその結果を賞賛されるべきと思うが、関係した幾多の日本企業の中から特定の企業を選ぶことは至難といえる。
その開発成果の要因は抜群の「非価格競争力(高品質、高精度、納期厳守、サービスなどの水準)の高さ」にあり、関係者の一人ひとりが「誠心誠意の人間性」を発揮して、どんなに不可能と思えるような状況になっても「諦めてしまう、止めてしまう」ことを選択しなかったからである。特定企業、個人に依存しない成果で、「日本人の事物に対する受け止め方の気質が高かった」と考えるべきと思う。
今回の講演では、弾道ミサイル防衛整備構想や中距離地対空誘導弾等々についてお話する予定である。
●日 時: 2020年 9月20日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館ホール
●テーマ: 『光秀子孫が残した明智家の真実』
●講 師: 伊藤 一美氏(鎌倉考古学研究所理事)
信長を倒した明智光秀。はじめ二人の主君、足利義昭と織田信長に仕えてきた。個性のある彼らに反発しながらも重臣の道を歩む。近江坂本から丹波亀山城へ、静と動の活動だ。少ない史料から知られる初期光秀の姿を垣間みて、中間職の苦悩をいやというほど味わいながら成長する時代、波多野・別府氏らとの軋轢と光秀の誠意ある対応、その面目を破壊する信長。天正8(1580)年からの丹波の経営統治は、理路整然とした家臣団構造とともに自己確立への第一歩と言える。
最近再発見された明智家血筋を伝える石谷家文書は、とさの長曾我部氏との繋がりと本能寺の変勃発の要因まで考えさせられる。さらに細川ガラシャ(玉)が我が子のように育て上げた「三宅藤兵衛」(重利)への想いを込めた手紙の断片など、光秀ゆかりの子孫三宅氏が残していってくれた新史料などから、明智家の真実の姿に光を当てて行きたい。
●日 時: 2020年 8月16日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 善行公民館ホール
●テーマ: 『日本人のひるめし』
●講 師: 酒井 伸雄氏(食文化史家)
世界中で食事は1日3回が常識と思われているが、時代、文明の発達度などによってはこの常識は通用しない。3回も食事をするのは豚や動物の生活だと非難されることさえある。「ひるめし」として口にする機会の多い弁当、給食、外食の三つのパターンについて論ずる。
人の集落が誕生すれば、遠方への往来には弁当が必要になる。弁当は時代とともに変化してゆく。かつては家庭で作っていた弁当は、弁当専門業者やコンビニなどでの生産・販売が主流になってきた。戦後の学校給食は児童たちの栄養摂取の点と母親の弁当作りから解放した点で大きな意味がある。その裏にはアメリカの壮大な食料戦略が隠されていた。外食の原点は、江戸時代に発達した料理茶屋と屋台がある。庶民が集まる屋台から生まれた「握りずし」、「蒲焼き」や「てんぷら」が発達して、今や日本料理の代表格となっている。
●日 時: 2020年 7月19日(日)午後2時〜午後4時
●会 場: 六会公民館ホール
●テーマ: 『最近の北朝鮮情勢について』
●講 師: 川口 智彦氏(日本大学国際関係学部 准教授)
北朝鮮は近い国でありながら、あまりその実態は知られていない。その理由は、北朝鮮が情報発信に消極的である一方、他方では北朝鮮に関するステレオタイプ的な情報がマスコミ等により流布されているからである。講演者は、北朝鮮がインターネットで情報発信を積極的に行なうようになった頃から、北朝鮮の文字メディアである『労働新聞』や『朝鮮中央通信』のみならず、『朝鮮中央テレビ』を視聴することにより、北朝鮮の実態を解明する試みを続けている。
北朝鮮は、本稿を書いている4月2日時点で、公式的には新型コロナウィルス非感染国ということになっている。本講演では、新型コロナウィルス問題が『朝鮮中央テレビ』などの北朝鮮メディアでどのように報じられているかについて紹介しながら、北朝鮮における新型コロナウィルスの感染状況の実態について述べたい。
また余裕があれば、「朝米関係」や「核・ミサイル問題」などについても言及するつもりである。
第253回講座(6/21)は、新型コロナウィルス感染防止対策のため、講座を中止しました。
第252回講座(5/17)は、新型コロナウィルス感染防止対策のため、講座を中止しました。
第251回講座(4/19)は、新型コロナウィルス感染防止対策のため、講座を中止しました。
第250回講座(3/15)は、新型コロナウィルス感染防止対策のため、講演を中止といたしました。
2020年 2月16日(日)午後2時〜午後4時@善行公民館3階ホール
『植物たちの生存戦略〜花・実・葉っぱの戦略』多田多恵子氏(東京農工大・国際基督教大・立教大・早稲田大 各非常勤講師)